富谷(もしかしたら)知り合いかも?図鑑【菅野裕喜さん】

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菅野裕喜(かんのゆうき)さん

仙台箪笥はご存知ですか?

煌びやかな手打ち金具が特徴の、けやきでできた重厚な箪笥です。

漆塗りで仕上げるので、赤褐色のような美しい飴色をしています。

菅野さんは若干37歳でありながら、仙台箪笥の塗装部門の伝統工芸士です。

伝統工芸品が身近なものではなくなってきた昨今、伝統工芸士として何ができるのか、模索し続けています。

職人気質の家系に育ち、自然とものづくりの道へ

母方の祖父が建設系の仕事をしていたのもあり、自分もなんとなくその道に行くような気がしていたという菅野さん。

20歳のときに訪れた定義山の五重塔に憧れて、宮大工になりたいと思い、五重塔を造った山形の棟梁に弟子入りしたくて突撃するも、断られてしまい撃沈。

宮大工になるまでのつなぎとして、宮城の工務店で大工として働くことになりました。

最初の修業先はなかなかのスパルタだったそうで、2年間みっちり修行させてもらい、かなりの根性がついたそうです。

あるとき、ちょっと格の違う仙台箪笥に出会ったそうです。

それは、隅々までデザインされ、凛とした品格を持つ洗練されたものでした。

こんなにも人の心を揺さぶるものを人が作れるのかと衝撃を受け、ものを作ることを生業としている一人として、自分もこんな風に人の心を揺さぶるものを作りたいと明確な目標ができた瞬間だったそうです。

この出会いをきっかけに、建物から家具の世界にシフトし、仙台箪笥の職人になることを決めました。

昔はどの家にもあった仙台箪笥

宮城県内の古い家にはだいたいある仙台箪笥。

それくらい、昔は家にあたりまえにあるものでした。

修繕依頼がきた仙台箪笥

丁寧に作られているのもあって、一本数十万円と高額なのと、ライフスタイルの変化により、現在では買い求める人は少なくなっています。

限られた職人だけで作られているので、このままでは技術が途絶えてしまうのではと、菅野さんは危機感を募らせています。

この状況を打破するために、常にいろいろな方法を考えているそうです。

地域で作り、暮らすこと

その方法のひとつが、地域に開かれた工場(こうば)をつくることです。

地域の人のみならず、観光で来た人などが作業風景を見学することができて、伝統工芸に触れることができる作業場をつくりたいと言います。

現在の職場での菅野さん

「仙台」箪笥という地域の名前がついている伝統工芸品を扱う者として、地域と共に歩むことは当然だと思っているそうです。

地域の付き合いが煩わしく、あまり好きではないという若い人が多い中で、なぜ菅野さんは地域と積極的に関わりたいと思うのか、そこには前述の母方の祖父の影響があるそうです。

いろんなトラブルを起こす祖父でしたが、愛嬌があったため地域の人に愛され、見守られながら暮らしていたそうです。

ドライな人間関係が増えてきた世の中で、地域で助け合いながら暮らしていくことは、それだけで価値のあることだと感じました。菅野さんは、5歳と3歳の男の子の父親としても、そういう関係を後世に残していきたいと思っているようです。

富谷市で工場兼自宅を持ちたい

地域に開かれた工場兼自宅をどこに持つか検討していたところ、知り合いのつてで富谷市役所の今野さんを紹介してもらったそうです。

こちらの意図を説明するための資料を用意して、アポイントを取って今野さんの元を訪ねた菅野さんは、今野さんの理解力と人間力に衝撃を受けます。

なんと、意図を説明する前に、今野さんに全部言われてしまったそうです。

つまり、初めて会ったにも関わらず、理想とするものが同じだったということです。

今野さんとの運命の出会いを興奮気味に話す菅野さん

この出会いが「富谷市に移住する」ことを決定的にしました。

漆を扱うので、住宅密集地では工場は持てません。

富谷市は新興住宅地がメインの居住地域ですが、山と畑や田んぼに囲まれた山間の地域もあります。

現在は西成田という昔ながらの集落で空き家を探しています。

すでに区長さんとの交流をはじめているそうです。

古いものやものづくりのことを話せる仲間がほしい

今回、一緒にお話を伺った奥様の佳苗さんも味のあるものが好きで、古い家に住む事に積極的だそうです。

伝統工芸士である旦那さんを心から尊敬し、考え方に共感し、いろいろな面で支えている素敵なご夫婦です。

ただ、新しいものが溢れかえっている現代で、同じ趣味嗜好の人がなかなかいないらしく「古いものや伝統的なものについて語れる仲間がほしい」と言います。

古いもの、伝統的なものが好き同士、話が止まりません

古民家や古道具などの味のあるものが好きな人は、ぜひ菅野夫妻と出会ってほしいと思います。富谷には「とみや古いもの研究会(通称:フルケン)」という部活もあります。

古くて味のあるものは、元を辿ればちゃんと作られたものが多いです。

古いもの、伝統的なものについて、一緒に語りませんか?

最後に「100万円あったら富谷市で何をしたいですか?」と聞いたところ「工場兼自宅の改修費などの起業資金にさせてもらいたい」と返答いただきました。

100万円じゃ足りないですね!

伝統工芸に触れることができるまちって、とても魅力的だと思います。

伝統工芸の未来を担う菅野さんを、地域全体で応援できればと思います。

この記事は「風と土の交差点プロジェクト」の一環で、風の人と土の人の関わりしろを創ることを目的としています。毎日1人ずつ、富谷塾生を中心とした富谷のひとの情報を発信していきます。

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この記事を書いた人

転職をきっかけに富谷に移住。富谷歴5年。
すべての人がありのままに、わくわく生きることができる社会を作ることをミッションとしています。NPO法人ローカル富谷の理事長やってます。私のキーワード→ 0を1にする/すぐやる/コミュニティマネージャー/アクセラレーター/スタートアップ/自己受容/おいしいもの好き/ジムニー好き

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